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見ず知らず 三話

「めんどくさい奴がいるんだけど」

 香織の投稿があった数分後に、愛美はこう投稿した。つぶやきのようなものだが、勿論香織のことを言っている。これで香織が反応してくるかを見ることにした。

 香織は愛美が思ったよりも早く反応してきた。

「誰のせいなんだろうね」

 香織が投稿したつぶやきだ。やはり誰かに宛てたものではないが、おそらく愛美のことだろう。

(そっちのせいでしょ)

 愛美は苛立ちを抑えるために深く呼吸をすると、落ち着いて香織のユーザーページを開いた。ここから、SNSのメール機能を使ってメールを送ることが出来る。文面はすぐに決まった。

「あなたのせいですけど」

 愛美はこれを入力すると、香織に送った。心臓がバクバクと脈打っている。さすがに緊張した。

 返信はすぐに来た。画面上に、香織からメールが来たことを通知するメッセージが表示される。愛美はそれをクリックした。メールの本文が表示される。

「あんたが張り合ってくるようなことするからでしょ」

 香織からのメールだ。愛美は香織の反応に苛立ちつつも、ぐっと堪えて穏やかな文面のメールを送ったつもりだったのだが、香織からの返信は想像した以上に喧嘩腰だった。

(そっちがその気なら)

 愛美はパソコンのモニターを睨みつけた。まるでそこに香織がいるかのように険しい表情だった。

「そっちが張り合って写真変えてきたんでしょ。ついこの間のことなのに、覚えてないの?」

 愛美はこれを送った。言い返してやったと、満足感に浸った。

 返信はすぐに来た。

「私はただ気まぐれで写真変えただけ。それを見て、あんたが変えてきたんでしょ」

 これが香織の言い分らしい。だが愛美は引き下がらなかった。

「気まぐれ?私が祐介君と仲良くしてるの見て焦って変えた癖に」

 愛美はメールを送った。一分も経たずに返信がくる。

「あんた相手に焦る必要なんかないから、勝負にもならないし」

 香織も引く気はないようだ。

(後から出てきた癖に)

 愛美はぐっと歯を食いしばった。

(絶対言い負かしてやる)

 イライラしながらキーボードを叩き、反撃の文章を打ち込み始めた。

 …………

 二人はその後もメールでのやり取りを続け、一時間近くが経過していたが、終わる気配はなかった。だがこの頃になるともう言いたい事は言い尽くし、中身のないメールがただただ行き交った。

「写真も加工してあるけどよく見たらブスだし」

 愛美が送る。するとすかさず香織から返信がくる。

「あんたなんかよく見なくてもブスだわ」

 メールを受け取った愛美は、またメールを送る。当然、香織も引き下がるわけはなく、送り返してくる。

(いい加減にしてよ)

 愛美は疲れていたが、香織に負けるわけにいかなかった。

(なんとかこいつを負かしてやりたい)

 それがこのパソコンのモニター越しに出来るならどれだけ良かったことか。だが香織を負かすための理論的な根拠はなく、文章では無理だということは分かっていた。それに何を言っても香織が負けを認めるわけは無いだろう。会うしかないのではないか、と思った。



 会ってどうこうできる算段があったわけではなかった。ただ文字を通してよりも、面と向かったほうがはっきりした答えが出せるのではないか、そうぼんやりと思った。

 思った時には手が動いていた。

「会ってやってもいいんだけど」

 と、メールを打ち、送ってた。送った後になって、少し気の迷いが出た。

(香織がどんなやつかも分からないのに……)

 後悔した。断ってくるんじゃないか、と希望とも取れる思いで待った。

 香織の返信は遅かった。これまで数十秒単位で帰ってきていたのが、五分経っても帰ってこない。

 香織も怖がっているのだろう。恐怖と負けたくない気持ちがせめぎ合っているに違いない。だとすればそう怖がる相手でもないのではないか、愛美はそう考えることで、多少なりとも気持ちを落ち着かせた。

 返信がきた。画面に通知が来る。愛美は緊張しながら、メールを開いた。

「会ってもいいけど、会うからには覚悟しててね」

 強気なメールに、また心が萎えた。喧嘩相手と会うのだから、手が出ることも当然考えられるだろう。しかしあの五分があったのだから、相手も怖がっている、そう思い、気持ちを振るい立たせた。

「そっちこそ、覚悟してなさいよ」

 と、すぐにメールを送った。

 この後、実際に会う場所と日時を決めた。そして一人で来ること、武器は持って来ないことなどを互いに約束した。

(あー、会うのか、あいつと……)

 メールでのやり取りを終えた後、愛美は呆然と座り込んだ。互いの都合で、会う日は一ヶ月先のことになった。

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非公開コメント

更新ありがとうございます!
楽しみにしてました!
ついに会うんですね。
次回も楽しみです!

文才豊かですね。
すごく引き込まれます!

久しぶりに見てみたら復活してたのでちょっと驚きました笑
この小説面白いです!続きも楽しみにしてます!

Re: タイトルなし

> 更新ありがとうございます!
> 楽しみにしてました!
> ついに会うんですね。
> 次回も楽しみです!

コメントありがとうございます。
まだ全部書き終えてないのでどうなるか分かりませんが、次回以降もよろしくお願いします。

Re: タイトルなし

> 文才豊かですね。
> すごく引き込まれます!

コメントありがとうございます。
更新頑張りますのでよろしくお願いします。

Re: タイトルなし

> 久しぶりに見てみたら復活してたのでちょっと驚きました笑
> この小説面白いです!続きも楽しみにしてます!

バズーさん、コメントありがとうございます。
恥ずかしながら戻ってまいりました。
次回以降もよろしくお願いします。
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Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

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