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見ず知らず 四話

 約束の日の前日。

(いよいよ明日か)

 愛美はそう考えると、緊張で胸が苦しくなってくるのを感じた。いつものように自室のパソコンの前に座っている。

(香織、やっぱりやめるとか言いださないかな)

 パソコンを起動させると、香織からのメールが来ていないかを確認した。が、新着メールの表示はない。少し気を落としつつも、いつものように祐介に何気ないメッセージを送る。勿論、裕介には香織と会うことは言っていない。

 返信を待つ間、祐介と香織のやり取りを監視した。仲の良さそうなやり取りを見ていると、また腹が立ってくる。萎えていた香織に対する敵意が盛り返す。

 愛美はさらに、あの日香織から送られてきた罵倒のメールを読み返し、香織に対する気持ちを高めた。

(やってやる。なるようになれ)

 そう決意すると、ベッドに入った。



 いよいよ当日、学校は休みではないが、前日からテストが始まっているため下校時間は早い。

 愛美のテストの手応えは、あまり満足のいくものではなかった。勉強不足もあっただろうが、それよりもこの後香織と会うということが、頭について離れなかったことも大きな原因だっただろう。

 帰りのホームルームが終わるとすぐに支度をして学校を出た。鞄の中には愛美が個人的に家から持ってきていたTシャツとジャージのズボンが入っている。喧嘩前に着替えるのか、制服が破れることを想定したのか、本人にもよく分かっていない。

 会う場所として決まったのは、丸々駅という駅だった。愛美の住んでいる地域からは二駅離れており、この市では最も大きい駅だ。香織のほうからも二駅らしく、間にあるということでここに決まった。

 愛美はバスに乗って、最寄り駅に向かった。学校が午前で終わったため、昼食をとっていない。バスを降りた先でコンビニに入ると、棒状の栄養補助食品を一つ買った。あまり食欲はわかない。

 立ったまま慌ただしくそれを食べると、駅に向かう。丁度電車が来るのが見えたため、急いで切符を買って乗り込んだ。十分ほど電車に揺られていると、指定された丸々駅に着いた。

 この駅は東西に百メートルほど伸びた細長い形で、二階建てだ。構内が広いため、待ち合わせ場所も決まっていた。一階から外に出て、すぐ目の前の噴水で待ち合わせることになっている。

 だが愛美は二階に向かった。この二階にあるいくつかの窓から下を見ると、待ち合わせ場所の噴水がよく見えた。

(まずはどんなやつか確認してからにしよう。本当に一人で来るかも分からないし)

 愛美はまず香織を見ることにした。だがまだ待ち合わせの時間まで、二十分ほどある。その間に愛美はトイレを済ませた。着替えのことは忘れてしまっている。

 トイレから戻ってくると、また窓の近くに立った。天気がよく、外がよく見える。

 香織が現れるまで、愛美は携帯をいじりながら待った。一応待ち合わせのために香織と連絡先を交換していたが、着いたといいう連絡は勿論していない。まずは香織を見てからだ。

 だが、待ち合わせの時間になっても香織は来なかった。

(遅いなあ)

 愛美は待ち続けた。待ち続けて、十分が過ぎた。

それでも待ち、二十分過ぎ、三十分が過ぎたところで、ようやく連絡をとることを決めた。

(連絡くらい、よこしなさいよ)

 愛美は乱暴に鞄へ手を突っ込むと、携帯を引っぱり出した。メールを送ろうと画面を見ると、受信メールが一件あった。五分前のものだ。着信時にバイブで通知があったはずだが、噴水に現れるはずの香織を見逃さないよう夢中だったために、気づかなかったようだ。

「どこにいるの?」

 香織からのメールだ。もう来ているのだろうか、しかし姿は見えない。

「そっちは?」

 愛美が返信した。メールはすぐに帰って来た。

「いるの?」

 香織からのメールだ。香織も既に来ているのだろう。だが待ち合わせ場所にはいない。

「噴水の前に立っててって言ったよね? すぐ行くから」

 愛美はまたメールを送った。

「もう来てるんでしょ、あんたこそ噴水の前に来なさいよ」

 どうやら香織も同じことを考えているらしい。まずは愛美を見てから、そういうことだろう。

(絶対私が先に見てやる)

 愛美は、駅構内にいると思われる香織を探すことにした。

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No title

素晴らしい作品ですね。
普段フログにコメントすることはないのですが、我慢できなくなってしまいました。

描写と展開のリアリズムが素晴らしいです。こういう小説では妄想とリアルのバランスが難しいところだと思いますが、デジタルさんの想像力と心理描写によって完璧に世界が構築されていますね。
僭越ながら、私が巡回している小説サイトの中では間違いなく最高の出来です。

愛実vs香織の決闘、まずは前哨戦・・・
今後の展開も期待しています!

更新お待ちしてました!
前夜からの心理状態など面白いです!
ありがとうございます!

更新楽しみにしてました。
面白いです。次回も楽しみにしています

更新楽しみにしております!
頑張ってください!

Re: No title

> 素晴らしい作品ですね。
> 普段フログにコメントすることはないのですが、我慢できなくなってしまいました。
>
> 描写と展開のリアリズムが素晴らしいです。こういう小説では妄想とリアルのバランスが難しいところだと思いますが、デジタルさんの想像力と心理描写によって完璧に世界が構築されていますね。
> 僭越ながら、私が巡回している小説サイトの中では間違いなく最高の出来です。
>
> 愛実vs香織の決闘、まずは前哨戦・・・
> 今後の展開も期待しています!

abishoさん、コメントありがとうございます。
まさかそこまで評価していただけるとは思ってもみなかったので、大変驚いています。
マイペースな更新になりますが今後もよろしくお願いします。

Re: タイトルなし

> 更新お待ちしてました!
> 前夜からの心理状態など面白いです!
> ありがとうございます!

コメントありがとうございます。
毎回毎回待たせてしまって申し訳ありません。
これからもがんばりますのでよろしくお願いします。

Re: タイトルなし

> 更新楽しみにしてました。
> 面白いです。次回も楽しみにしています

コメントありがとうございます。
更新頑張りますのでよろしくお願いします。

Re: タイトルなし

> 更新楽しみにしております!
> 頑張ってください!

はまさん、コメントありがとうございます。
頑張りますのでよろしくお願いします。
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Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

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