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見ず知らず 五話

 愛美はなんとしても先に香織の姿を確認しておきたかった。一人で来ているのか、物騒なものは持っていないか、力ずくでなんとかできそうな相手か、見てみないことには不安は拭えない。

 だが香織を探すと言っても、手がかりはあのSNSのプロフィール写真だけだ。それも加工済みと思われる写真ばかり。それらはどれも肩から上のものばかりで、背丈や体形は分からない。

 愛美は窓を離れた。今頃、香織のほうもこちらを探しているだろう。

 愛美はまず、今いる二階にあるコンビニに入った。一番安いマスクを購入すると、それをつけた。香織に見つからないようにするためだ。

 まず、二階から探し始めた。東の端まで歩き、突き当たると振り返り、西に向かって歩いた。

(あれかな? いや、この人っぽいかも……)

 ちょうど他の学校もテストの時期らしく、駅には制服姿の者が多い。

(あっちも探すのに苦労してるんだろうな)

 そう思うとなにか妙な仲間意識のようなものが湧かないでもない。が、あまりキョロキョロしていると気づかれるだろう。自然に、下校中の女子高生を装った。少しでも香織にヒントを与えたくなかった。

 二階の西の端に着くまで探したが、どうにも見つからない。次は一階に降りることにした。

 下りのエスカレーターに乗っている時も、すれ違う上りのエスカレーターに乗っている人間の中に香織がいないか探した。

 一階に降りると、今度は東に向かって歩いた。なるべく自然に、辺りにいる人の顔をチラチラと見つつ進む。

(あの人、そうかも)

 なんとなく雰囲気がそれらしい女を見つけた。すれ違うと、愛美なりに自然に振り返り、後をつけた。なんとなく顔が似ている、そう感じた。

 その女は愛美が来た方へ歩いていく。そして止まった。何もない場所で立ち止まると、鞄から携帯を取り出した。

(連絡、くるかも)

 愛美はそう思い、鞄から携帯を取り出した。女は携帯を耳に当てた。だが、愛美の携帯に着信はこない。

(あの人じゃないか……)

 どっと疲れた。その女をぼーっと見ていると、もう一人女がやって来て、二人でどこかに行ってしまった。

 探し始めてから十分以上経過している。いつ出くわすか、いつ見つかるか、そんな緊張の中歩き回っていると、実際に歩いている時間以上に疲労を感じた。

 愛美はだらだらと歩いた。駅内にいくつか立っている太い柱のそばに行き、もたれかかった。

(もう、出てきなさいよ)

 愛美は携帯を取り出すと、思い切って電話をかけることにした。連絡先から、香織を選ぶ。画面に表示された香織の電話番号と、それに並んだ発信の文字を見つめる。それから一つ咳払いし、ゆっくりと発信ボタンを押した。

 プルルル、プルルル……

 着信音が聞こえるばかりで、香織は出ない。そのうち、留守電に変わったがメッセージを残す気にはなれず、そのまま切った。

(向こうも必死に探してるんだろうな)

 そう思うと、妙に落ち着いた。電話に気づかないほど、香織も必死なのだろう。

 だがその直後、愛美の携帯が振動した。ブブブと音を立てて震える。画面を見ると、香織からの着信だった。

 突然のことで愛美は面食らった。心臓の動きが早くなっていくのが、はっきりと分かった。

 二回三回と着信を知らせるバイブの音を聞きながら、深呼吸し、出来るだけ心を落ち着かせると、応答のボタンを押した。

 愛美は携帯を耳に当てた。数秒、無言の時間が続いた後、

「もしもし」

 香織のものと思われる声が聞こえてきた。

 声を聞いたのはこれが初めてだ。愛美は緊張していたが、それを悟られないようはっきりと答えた。

「愛美だけど」

 声は小さかったが、その口振りは緊張を全く感じとらせなかっただろう。

「知ってる」

 香織の声も小さかったが、露骨にふてぶてしさを感じさせる。

 愛美は辺りを見回した。電話をかけている女子高生を探したが、見当たらない。

「どこにいるの?」

 香織がつぶやくような声で聞いてきた。苛立ちがこもっているような印象だった。だが愛美としても、すんなり答えるわけにもいかなかった。

「そっちこそ、どこなの?」

 愛美も聞き返す。

「怖がってないで出てきたら? 心配しなくてもちゃんと一人で来てるから」

 香織が激しい口調で言い返す。本当かは分からないが、一人で来ているようだ。

「私だって一人で来てるから。そっちこそ怖がってるんじゃないの?」

 愛美のこの言葉の後、口論になった。最初は小さかった声も、段々と大きくなっていく。

 相手が喋り終わるのを待たずに言葉を浴びせ合った。その途中、愛美は電話の外からも、香織の声が聞こえてきていることに気がついた。

コメントの投稿

非公開コメント

No title

待ってました!!
ふたりが出会ってどうなるのかとても楽しみです!

更新おまちしてました!!
盛り上がってきましたね!
次回も期待してます

No title

うおお、緊張してきた!

更新お疲れ様でした!

いよいよですね!
次回も楽しみです!!

とても面白いです!
更新楽しみです!

No title

いよいよ初対面ですね。
身長、体格(取っ組み合いになった時どちらが有利か)。
そして顔、スタイル、胸の大きさ(女としてどちらが上か)。
お互い制服という同等条件が、またいいですね。

更新楽しみに待ってます!

続き気になります!
毎日みてますよー

体調など崩されてないか心配です。
またお元気に更新されるのをお待ちしてますね
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デジタル

Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

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