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闘雀 2

 家に帰ってからも、真由はまだ自分の中の違和感を解消できていなかった。

 寝る前、自分の部屋で鏡に向き合う。鏡の中の自分をじっと見つめた。

(うーん……)

 だが特に解決する気がしない。今度は携帯を取り出した。高校に入学した時に買ってもらったもので、連絡先は親と親戚以外は里香しか登録していない。

 写真も何枚か撮ったが、ほとんど里香と出かけたときのものだった。その写真をざっと見ていたが、ふと2人で写っている写真に目がとまった。

 その写真は2人でカラオケにいった時に撮ったものだった。お互い人生で初めてのカラオケだという話しをして、それならと記念にカラオケルームで撮ったツーショット写真。真由はそれをじっと見つめた。

 この写真を見た時、真由は自分の中の違和感、その正体に近づいた気がした。

(私のほうが、可愛いよね……?)

 真由は無意識にそう感じた。自分と里香を比べようと思って写真を見ていたわけではない、ただぼーっと見ていて、そう思った。

 自分のほうが可愛い、自分と親友を比べ、優越感を感じた。だがすぐに、良くないことだと自分を責めた。

 しかしどうだろうか。真由は思えば今まで、無意識のうちに里香を見下しながら接していたのかもしれない。めったに現れない、自分と対等かそれを下回る人間の存在を見て、心のどこかで安心していたような気がした。

 これまで里香には腹を割ってなんでも話してきた。一緒にいて一切気兼ねするところがなかった。だがそれは信頼によるものではなく、ただ里香のことを下に見ていただけではないだろうか。自分のほうが上だという余裕から、どんな部分もさらけ出せただけなのかもしれない。

 下に見ていたからこそあの時、里香に似ていると言われて、素直に喜べなかった。真由はそんな自分を恥じた。

 だがあの時、里香も浮かない顔をしていた。もしかしたら里香も、自分のことを見下しているのではないか、そう思った。

 そう思うと、途端に不安になったし、腹も立った。言いようのないストレスがのしかかり、胸が押さえつけられるような思いがした。

(明日、里香に話してみよう)

 どう話すか、まったく展望はないが、1人で抱えていては耐えられない。どんな結果になってもいい、とにかく里香に話して、この問題を解決したかった。



 翌日、真由は普段通り授業を受け、4時間目が終わると弁当を取り出し、いつも通り里香のいる2組に向かうべく教室を出た。

 2組はちょうど今授業が終わったところらしい。日直が号令をかけている。それが終わり、各々が立ち上がり始めた。人波が教室を出ていく。今日は天気が良いため、みんな外で昼食を食べるのだろう。この学校にはそれにうってつけの広い中庭があった。

 大方の生徒が出終わると、真由は教室に入っていった。中には、3人組の男子生徒のグループが1つと、2人組の女子、そして里香がいた。

「里香ちゃん、おつかれー」

 努めて笑顔をつくり、明るく振る舞う。

「あ、真由ちゃん」

 里香からの返事は、なんとなくいつもより声が沈んでいるような、そんな気がした。

 真由はその辺から椅子を1脚持ってくると、里香と向かい合うように座った。里香が後ろのロッカーに弁当を取りにいっている間に、どう話しを切り出そうか考える。だが、なかなか上手くまとまらない。昨日からずっと考えているのだが、簡単には決められなかった。

 そうしている間に里香が戻ってくる。

「おまたせ」

 里香はそういいながら向かいに座った。やはり元気がないように見える。

(やっぱり里香も……)

 似たようなことを思っているのではないか、そう思った。

「どうしたの? 元気ないみたいだけど」

 真由が聞いた。

「いや、ちょっとね」

「もしかしたらなんだけど……、昨日のこと?」

 真由は思い切って聞いてみた。言った後、額に汗がにじんだ。少し間をおいて、里香が口を開いた。

「昨日のこと? 昨日のことって?」

 なんのことか分からない、そんな口ぶりだった。

 だが真由は、里香も同じようなことを考えていると決めつけているし、昨日のことと言えば通じるものだと思いきっている。

「そりゃあ昨日のことといったら、ね」

「昨日か……」

 里香がため息をつく。なかなか答えにたどり着かない。真由は思いきった。

「似てるとかどうとかってやつ」

 真由がぽろっと言葉をこぼした。ささやくほどのボリュームだったが、里香にはしっかり聞こえたようだ。

「あぁ、そっか。真由もそこが引っかかってたんだ」

 里香が、じっと真由の目を見つめる。返事を待っているようだ。

「うん、それで里香と話しがしたくて」

 真由はいいづらそうに下を見る。置かれている弁当箱は、まだ蓋も開いていない。

「あの時の真由ちゃんの嫌そうな顔、真由ちゃんって私のこと見下してるでしょ」

「それは……、でも、そっちだって――」

 真由がそこまでいった時だった。

「ほらやっぱり。なんであんたなんかに!」

 里香が目を見開き、声を上げた。それは今まで真由が見たことのない姿だった。その声に気づいた例の男子グループが、こちらを伺うように見ている。2人組の女子は気を使ってか、教室を出ていった。

 里香は、はっと口を閉じた。だが言おうとしていたことは、真由には十分伝わっていた。

(間違いない、こいつも私のことを見下してる)

 そう確信してしまった。そう思うと、苛立ちが抑えられない。

「ごめんね、急に大声出しちゃって」

 里香は、ばつが悪そうに目線を落とした。

「声は別にいいけど、言おうとしたことはなんとなく分かったから。今日かぎりで友達やめようか」

 と、真由はいった。里香はそれに応えることなく、弁当を広げ始めた。

 真由はこれだけのことで苛立ちは抑えられなかったが、とりあえず弁当箱を開けた。2人共、無言で食べた。そして食べ終わると、

「明日から1人でお昼食べてね」

 真由はそういいながら、からになった弁当箱をしまい始める。とにかくなにか言ってやりたい、その思いが止められない。

「ねえ、聞いてる? 明日から教室のすみっこで、1人寂しく食べるんだよ。もう私こないから」

 そう真由がいった時、それまで黙って弁当を食べていた里香が、すっと顔を上げた。その目つきは普段より鋭い。

「そっちこそ、1人で食べるんでしょ」

 里香はそういうと、弁当を片付け始めた。

「私は他に友達つくるから」

 真由は強がって見せた。本当にそう思っているわけではないが、弱みを見せたくなかった。

「私だってつくるし」

「できるもんならやってみれば? 楽しみだね」

「そっちこそ。できるわけないのに」

 2人はじっと睨み合った。もう相手は親友でもなんでもない。真由はただ、この目の前の女を傷つけたい、その一心で口を開いた。

「あんたなんか、誰にも相手にされないで、1人でとぼとぼ学校にきて、1人で授業受けて、1人でこそこそ弁当食べるんでしょ。それから1人でどこにも寄らずに、まっすぐ家に帰って、それから――」

 真由がここまでいった時、里香も食って掛かるように言い返してきた。

「そっちこそずっと1人じゃん。このまま3年間ずっと1人で過ごして、社会に出ても1人で、友達も彼氏も一生できないで、そのまま1人で死んじゃえば」

 里香のこの言葉は、真由の我慢の限界を越えた。

「い、今まで仲良くしてやってたのに! あんたこそ1人で死ね!」

 真由が机を叩く。ドン、と鈍い音が響く。

「仲良くしてあげてたのは私! この根暗ブス! あんたなんか今すぐ死ね!」

 里香も声を上げ、机を叩いた。男子グループも異変に気づき、気まずそうに教室を出ていった。だが2人はそんなことは気にもかけない。

「言ったな、このクソブス! 根暗女! さっさと死ね!」

 真由もいい返す。この真由の言葉を聞いた里香は、勢い良く立ち上がった。それを見た真由も追うように立ち上がる。椅子がガタッと音を立てて倒れた。

「もう我慢できない! こ、殺してやる!」

 里香が叫んだ。視線はしっかりと真由の顔を捉えている。

「こっちだって、やってやる!」

 真由も負けじと声を上げた。それをきっかけに、2人は相手に手を伸ばした。

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投稿再開お疲れ様です。
今後も期待してます

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