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闘雀 完

 ほぼ同時に髪を掴み合う。真由は夢中で里香の髪を自分の方へ引っ張った。真由の髪も引っ張られ、2人の顔は下を向いた。

 じっと髪を引っ張り合う。

(い、痛い……)

 思っていたよりも痛い、真由は戸惑った。ただ慣れていないからなのか、それとも里香の力が存外強いのか、わからない。

(里香はどうなんだろう)

 目に見えるのは床と互いの足、垂れ下がった髪だけだ。里香の様子をうかがおうにも、顔が上げられなかった。

 真由の頭が上下に大きく揺れた。里香が真由の髪を振り始めたからだ。真由も負けずに振った。

「うっ……、んん……」

 静かな教室には、2人のうめき声だけが聞こえる。

 里香の片方の手が離れた。そしてすぐに顔に拳がとんできた。綺麗なパンチではなかったが、しっかりと握り固められた拳が、真由の頬にぶつかる。

「んく……、痛っ」

 思わず声が漏れた。それを聞いたであろう里香が、挑発するように、ふっと鼻で笑った。

(こいつ……、ゆるさない)

 怒りで頭に血がのぼる。顔が熱くなっていくのが、自分でも分かった。

 同じように片手を離すと、里香の顔めがけて腕を振った。投げつけるように、拳を顔面にぶつける。

「痛っ! この!」

 里香は怒鳴りながら、またパンチを繰り出す。それは真由の目元を捉えた。

 少し怯んだが、すぐに殴り返した。殴っては殴られ、2人は夢中で、交互に殴り合った。

 疲れると髪を引っ張る手を持ち替えて、休まず殴った。

 真由に、先に限界がきた。髪を掴んでいる手の握力が弱くなった、その隙をつかれた。

 里香は真由の手首を握って髪から引き剥がすと、上体を持ち上げた。真由の髪は掴まれたままだ。

 真由はあわてて手を伸ばしたが、里香の髪ははすでに掴めるところにはなかった。

 くの字に折れ曲がったままの真由の背中を見下ろす里香は、眼下に見えている背中に拳を振り下ろした。

 ドスン、ドスン。真由の体に、鈍い音が響く。荒く呼吸する口から、音が抜けていくような感覚と、吐き気を覚えた。

(負ける……)

 頭がまっしろになった。とにかくどこかを掴もうと、夢中で手を伸ばした。里香のスカートに手が当たると、それを握りしめ、力いっぱい手繰り寄せた。

 スカートのウエスト部分に手が届くと、指を内側に入れ、前後に揺すった。引けば里香がバランスを崩し、押せば拳が腹にめり込む。

 里香はバランスを取るために足を前後に開いて踏ん張った。

 真由の顔の下に、里香の右膝がきた。真由はそれを両手で抱えて、思い切り持ち上げた。

 ドン、と勢い良く里香が尻もちをつく。真由も追うように膝をついた。里香の脚は抱えたままだ。目の前に股が見える。

 真由は馬乗りになろうと迫った。がすぐに里香の両脚が、真由の腰を挟んだ。すぐはずそうと自分の体と里香の脚の間に手をいれたが、里香も必死に力をいれる。真由のへその高さに、里香の太ももが絡みつく。

 はずせそうもないことがわかると、今度は髪を掴みにかかった。

 だが里香は、その真由の手を受け止めた。2人は互いの手をしっかり握り、指を絡ませ、押し合った。

「ぐ……、くく」

 食いしばった歯の間から声が漏れる。互いに必死だった。

「この……、さっさとあきらめろ」

 真由は声を絞り出した。

「そっちこそ……」

 里香も、細くにじむような声で応えた。

 上から押さえつける真由のほうが、徐々に押していく。押し合う手が、里香に迫る。里香が逃げるように腕を広くと、真由の最後のひと押しで手が床についた。

「ふんっ……、ざまあみろ」

 真由は文字通り里香を見下した。私の勝ちだ、真由の表情はそう宣言している。

 だが里香は諦めていなかった。真由の腹が、締め付けられる。

「うぅ……」

 大したダメージではないが、状況はよくなかった。真由は里香の手を押さえつけているだけで、攻撃できない。かといって手を離すわけにもいかない。

「ほら、あんたの負けでしょ」

 真由は口を開いた。これくらいしかやれることはない。

「ふん、お腹苦しいんでしょ、このまま締め上げて負かしてやるから」

 里香も強気だ。

「あんたにそんな力あるわけないでしょ、ずっと部屋にこもってたくせに」

 2人は黙って睨み合った。真由は効いていない風を装っていたが、少しずつダメージが蓄積されていくのを感じた。

 手を押さえつけ続けなければならず、腹を締められており、加えて膝立ちを維持しなければならない。徐々に体力が奪われていく。

 里香は締めつける脚に力をいれたり、適度に抜いたりを繰り返し、まだまだ体力は持ちそうだ。長引くほど不利になることは間違いないだろう。

 真由は思いきって右手を離すと、自分の腹と里香の太ももとの間に手をいれた。外せないまでも、ダメージを軽減することはできるだろうと思ったからだ。それほど苦しくなっていた。だが空いた片方の手を、里香が使わないわけがなかった。

 里香は真由の髪を掴むと、ぐるぐると巻き取るように手を動かし、がっちりと握った。そしてそれを思いきり動かした。真由の頭が、がくがくと振れた。

 真由はたまらずもう一方の押さえつけていた手を離し、里香の髪を掴むと、里香と同じようにした。だが里香はこれで完全に両手が空いた。空いた方の手も、がっちりと真由の髪を握った。

 真由も脚を外すのを諦め、両手で里香の髪を握った。2人はじっと髪を引っ張り合い、たびたび振った。やはり不利なのは真由だった。髪を引っ張り合う間も、里香はたびたび腹を締める脚に力をいれた。

(痛い……、苦しい……)

 心が折れそうになった真由は、視界の隅にあるものを見た。

 真由のへそのすぐ先にある、里香の股間に目がいった。スカートはまくれあがり、下着が見えている。

 真由はすぐ片手をその下着にやると、前側を掴んで指に絡めると、ぐーっと里香の腹のほうへ引き上げた。

 下着は股間に食い込み、きゅーっと細くなり、里香の陰毛が露わになった。

「ぐ……、やめっ……」

 里香は片手を離し、下着を引っ張る真由の手を掴んで、引き離そうとした。だがやっと勝てる気配を見出した真由は、簡単には譲れない。

 上では髪を引っ張り合い、下では下着を奪い合い、相変わらず腹は締めつけに耐えている。

 もう少し、もう少しで勝てる、真由は自分の勝ちを疑わない。だが、里香も全く力を緩める気配がない。

「うう……、くっ……」

 静かに、黙々と戦った。

 動きが落ち着いて膠着状態になると、里香しか見えていなかった真由の視野も広がった。今になって気づいたが、どうやら教室に人が戻ってきているようだった。いつからいるのかわからないが、がやがやという話し声を聞く感じだと、10人くらいはいるように思えた。

 里香はそれに気づいていないのか、喧嘩をやめようとする気は見られない。

「里香、人が」

 真由は小声で言った。

「ふん、そっちが謝るならやめてあげる」

 里香はあくまでも強気だった。

(そっちがその気なら)

 だいたい里香はほとんど股間を露出している。ひものように細くなった下着があるだけであり、恥ずかしさでいえば里香のほうが遥かに上だろう。人が増えて困るのは里香のはずだ。真由はそう考えると、髪を握る手、下着を引く手にいっそう力をこめた。

 だが里香も負けずに力をいれてくる。2人は全力で攻撃を続けた。

 気づけば、2人の周りを同級生がぐるりと囲んでいる。その人数はほぼ1クラス分くらいいるだろう。時折、シャッターの音がなった。だがこの状況になっても、互いに引かなかった。相手がやめるまで、やめられない。

(もうちょっと、あと少しで、こいつが負けを認めるはず)

 何度も何度も心の中でそう唱えたが、2人は5限開始のチャイムがなって教師が教室に入ってくるまで、闘いをやめなかった。



 その日の夜、真由の携帯に知らないアドレスからメールが届いた。1枚の画像が添付されている。

 恐る恐る開いてみると、それは真由と里香が喧嘩をしている写真だった。

 写真は横から撮られたもので、真由の顔は垂れ下がる髪に隠れて見えない。が、里香は顔どころか、股間と、それに食い込む下着がはっきりと写っている。

(あいつ、ざまあみろ)

 だが写真に顔が写っていないだけで、この写真に写っているのがどこの誰なのかは、しっかりとばれているろう。

(明日から、どうしようかな……)

 始まったばかりの高校生活の前途は、ただただ暗い。

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学校生活を苦難を思えば、まことに悲しいですね。
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Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

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