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女の戦い プロローグ

 幼い頃から負けん気が強かった。スポーツが好きで、小学4年生から中学3年生までソフトボールに打ち込んだ。ただ、スポーツ一辺倒というわけでもない。多少は恋愛も経験してきた。勉強も苦手だったわけではない。なんでもコツコツ努力できる性分であり、優秀とまではいかないが、悪くない成績をのこしている。竹原由衣とは、そういう少女だった。

 ただ中学3年の最後の夏、自分の限界を見た。ソフトボールの強豪だった学校では1度もレギュラーを掴むことはできなかった。

 最後のレギュラー発表の時、自分の名前が呼ばれなかったことを、泣いて悔しがった。負けず嫌いな彼女は、決して努力を怠ってはいなかった。だが、体格に恵まれなかった。チームメイトの中で1番子柄だったほどだ。彼女は、ソフトボールをやめた。

 やめた後、特に目的もなく過ごした。特に勉強ができるわけでもない。いい高校に進学したいとも思わなかった。だが、進学先を悩む彼女の前に、道が拓けた。

 たまたま手に取った進路指導の資料に、こう書いてあった。

『東高校、来年度より共学化』

 東高校は、街の外れにある山の上に建っている男子校だが、この由衣の学年から、女子でも受験できるらしい。

(ここにしよう)

 由衣の直感がそう告げた。

 今年まで男子校だった学校を選ぶ女子は少ないだろうと予想できる。由衣はもともと、男友達の方が多く、女同士の付き合いは苦手だった。女友達といえば部活の仲間くらいだ。それに、高校からはソフトをやめて、なにか別に打ち込めることを見つけてもいいかもしれない。

(例えば……、恋愛とか)

 そう思った。由衣はそこまで恋愛慣れしているわけでもないが、周りに女が少ない状況なら、自分へのハードルも下がるだろうと考えた。

 そうと決まれば準備は早かった。由衣は、行動力に富んでいる。すぐに教材を揃え、受験勉強に取り組んだ。目指す東高校は、そこまでレベルの高い学校ではない。無遅刻無欠席、部活動も真面目にやってきた由衣なら内申点も申し分ないだろう。

 進路相談の時間では、担任の教師に、他の学校も考えてみてはと言われた。だがそんな教師も、由衣の熱意を見ると折れるしかなかった。

 2月、満を持して入学試験を受けた。随分と過去問を解いてきたが、あっさりと推薦入試で合格を決めた。

 合格発表があったのは2月の下旬で、高校入学まであと1か月ある。

(このままで大丈夫かな……)

 由衣は入学後に自分が女として上手くやっていけるか、今更ながら不安になった。由衣を女として見たとき、確かに顔立ちは悪くない。丸顔に、大きな目が特徴の、可愛らしい少女だった。だが高校生ともなれば、それだけではだめだろう。友達に相談したり、雑誌を読んだりして女を磨いた。

 それまでただ短くしていただけの髪型を、肩につかない程度のボブにした。化粧品も揃え、ナチュラルメイクの練習もした。服も周りのアドバイスを積極的に聞き、買い揃えた。

 準備は万端だった。だが満を持して高校生活を迎える由衣の行く末を、大きく曇らせる女が現れる。



 その女、沢野美優について書かなければならない。美優は、竹原由衣の住んでいる街の、隣街の中学校に通っている。この時点では面識はない。

 彼女、美優は昔から特になにかに打ち込んだということはない。ただ周りと同じように過ごし、適度に遊び、勉強も無難で、運動も特に苦手としていなかった。

 中学生になってから、とにかく男にモテたいという欲求が強くなった。一生懸命男にモテる自分をつくる、そこにこれまでにない力を注いだ。

 事実、彼女はそれなりにモテた。恋愛も、まずまずした。最初は男にモテて、彼氏ができて、それで満足していた。だが男に触れて、経験を積み、慣れていくたびに、彼女の中にある欲求は大きくなっていった。

 中学校生活も半分を過ぎたあたりから、とにかく自分が1番モテなければ気がすまないと思うようになった。他の女がモテていることが、気に食わなくなってきた。

 だが現実は厳しかった。彼女は抜群な容姿を持っているわけではなかった。それは良くてもクラスで5番手程度のレベルだった。

 決して容姿は悪くはない。平均より少し低い程度の身長に、程よく肉のついた体、まずまずの胸に、愛嬌のある顔立ちで、髪はさらりと胸の辺りまで伸ばしている。モテることが目的であれば及第点といえる。だが彼女には、及第点ではたりない。自分がトップでなければならないからだ。

 だが生まれ持ったものを今更どうこう言っても仕方がない。彼女の敵意は、自分よりモテる女に向いた。同級生の悪口ばかり言う彼女のもとから、女友達は次第に離れた。

 そうして3年生になった彼女は、由衣も見た東高校の資料を目にする。来年度から共学化、ここに惹かれた。

(ここなら女子も少ないだろうし、女がくるとしてもブスばっかりだろうな)

 東高校を受験すると即断した彼女は、すぐに受験勉強を始めた。自分の欲望のためなら、行動力、決断力ともに旺盛になるたちだ。

 受験の結果は良かった。見事合格した彼女はその日から毎日のように、男にモテモテの女子高生である自分を想像した。

 その想像の中には常に、自分を羨ましそうな目で見つめる、容姿が劣悪で、モテる要素のない、哀れな女同級生達がいた。その女達は、美優を羨んだり、嫉妬して陰口を叩いたり、おこぼれにあずかろうと近づいてきたりして、美優はそれを尻目に男を独占し、ただ優越感に浸る。想像の中の自分は、常に圧倒的トップだった。

 だが、美優がいうところの哀れな女同級生の中に、彼女の宿敵となる竹原由衣がいることを、この時はまだ知らない。

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とても楽しみな導入です!
どんな喧嘩になるのか今からドキドキです!

ところでエピローグではなくプロローグでは…?

姫対決復活!
楽しみにしてます
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Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

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