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女の戦い 戦端 1

 由衣は、学校への坂道を登っていた。周りにも同じように登校している生徒達がいる。それは男ばかりで、彼らは由衣の姿を見ると、物珍しそうに遠目から、こそこそとなにやら話している。

 入学してから1年生の関わる諸々の行事も落ち着き、いよいよ今日から通常の日程が始まる。由衣の胸には、やはり期待と不安とがあった。

 門をくぐり、下駄箱で上履きに履き替えると、教室がある5階までの階段を登った。運動する習慣のある由衣でも、朝からこの階段は体力を使う。教室に入った由衣の目に写ったのは、10人弱の男子生徒だった。由衣もかなり早くきていたほうだが、やはり最初の授業があるということで、皆朝早くに家をでたのだろう。

 教室にはいった由衣を、その中の1人が出迎えた。

「竹原さん、おはよう!」

 最初の1人が勢いよく挨拶すると、それにつられて残りの人数も皆口々に声を発した。

「おー、おはよう。おはよう。よろしくね」

 由衣は1人1人の目を見ながら、丁寧に挨拶を返していく。自分の机に鞄を置いて、教科書を取り出していると、またたく間に机の周りに輪ができた。皆、由衣と話がしたいのだろう。

(私なんかでいいのかな)

 由衣は幼い頃から、男みたいだといわれ続けて、ここまできた。自分がモテるタイプではないことは自覚している。この状況に多少の違和感はあったが、せっかくだからと男達の相手をした。

 彼らは口々に由衣に質問をぶつけてくる。由衣は一々丁寧に答え、適度に質問を返した。1人1人の名前や出身中学、誕生日まで、細かく聞いて、覚えようとした。

 それから、なにげない雑談をした。男達は由衣がなにを喋っていても、相づちを打ちながらニコニコと笑顔で聞いてくれた。教科書を移し終わった後の鞄を、すぐ後ろのロッカーまで持ってくれる者までいた。

(悪くないかも)

 人生で初めて、男にチヤホヤされた。単純に楽しいと思ったし、男に媚びてモテようとする美優の気持ちも理解できた。

 由衣が喜びを噛み締めている最中に、美優がやってきた。

「みんな、おはよー」

 美優は手を振りながら教室に入ってきた。男達の視線は、一斉に美優にさらわれた。

 美優は自分の席に鞄を置くと、すぐ由衣のほうにきた。

「なにしてるの? 私もまぜてもらっていいかな?」

 美優の言葉に、1人の男が立ち上がり、椅子を持ってきた。美優はその男に、笑顔でお礼をいって座った。

 そこからは美優の独壇場だった。由衣とは、場数が違うのだろう。美優が会話をリードする。由衣はなんとなく遠慮してしまい、話にはいるタイミングを掴みきれなかった。

 チャイムが朝の休憩が終わったことを知らせると、男達は続々と立ち上がり、由衣と美優に声をかけながら、自分の席に帰っていった。

 由衣はそんな男達に笑顔で手を振りながらも、

(こいつさえこなかったら)

 と美優の横顔をちらちらと見ていた。

 そんな一種の嫌悪感を募らせている由衣と違い、晴れ晴れと笑顔を振りまいているのは美優だ。

 美優は先刻、教室にはいった時、男達が輪をつくっているのを見ると、その中心には由衣がいる、とすぐに気づいた。

(抜け駆けは許さない)

 邪魔してやろう、そう思った。はたしてそれは成功し、美優がきてからは男達の視線は美優に釘付けになった。

 美優は、先日の由衣とのちょっとした衝突もあって、由衣のことを良く思っていない。

(私を出し抜こうとしたって、そうはいかないんだから)

 最後の1人の男が去った後も由衣の席の近くにいた美優は、

「なんかごめんね。じゃあ、頑張ってね」

 と、由衣にいって微笑むと、自分の席へ帰った。

 由衣は、そんな美優の背中を見送る。ただただ悔しかった。モテたいという願望が湧いた矢先の出来事だった。モテたい、美優に勝ちたい、そう強く思った。

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この盛り上がって行く感じいいですね!
次回も楽しみにしてます!

これからどうなっていくのか楽しみです。
またよろしくお願いします!
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Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

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