FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

女の戦い 戦端 3

 翌日、美優は早朝から鏡の前に立って、自分の制服姿をチェックしていた。スカートはウエスト部分を折ってベルトで留め、裾が膝よりも上にくるようにした。動けばちらちらと太ももが覗く。

(これでよし)

 今日は男達の視線を独占してやる、美優は強い自信を持って、いつもより早く家をでると、バスに乗った。先に教室にはいり、由衣のつけこむ隙を与えない作戦だ。

 だが美優は、バスの中に由衣がいるのを見つけた。2人は目があった。

(こんな時間にきてるんだ)

 美優は驚いたが、美優を見た由衣も驚いているようだった。

(ここでどっちが上かわからせておくのもいいかな)

 バスの路線は下りであり、都会でないこともあって座席はまずまずすいていた。だが美優はあえて、最後尾から2番目、左の座席にいる由衣のそばまでいくと、

「ここ、あいてるよね」

 そういいながら、2人掛けの席にゆったりと座っていた由衣の横に、図々しく尻を押し込んだ。

 由衣はむっとしたが、なにもいわなかった。だが内心、

(他にもあいてるのに、なんでわざわざ)

 そういぶかった。なにかしてくるに違いない、そう思った。

 そんな由衣の予想通り、美優がなんの目的もなくわざわざ隣にくるはずがない。美優は座るなりすぐに口をひらいた。

「昨日のは由衣がモテたとかじゃないからね、わかってる?」

 挑発された、由衣は言い返さずにはいられない。

「みんな楽しそうに私と話してくれてたけど」

「男はみんな脚見てただけ、話なんかきいてないから」

 美優はそういうと、さらに、

「今日は勝負にならないかな」

 と、自分の膝をぽんぽん叩いた。スカートが昨日よりも短いことに、由衣はすぐ気づいた。

「ふーん、頑張ってね」

 由衣は、美優のスカートの裾から覗く太ももを見て、内心ほくそ笑んだ。太い。ただ肉がつくに任せたような太ももで、見せびらかすほどのものでもないだろう。自分の脚のほうが綺麗で、しまっている。勝った、と思った。

 そんな余裕が伝わったのか、美優はむっとした顔で、いった。

「あれ、由衣ってなんかスポーツやってたんだっけ?」

 美優の問いかけに由衣は、ソフトボールだけど、とそっけなく答えた。美優はすぐ、大げさに笑った。

「あーそうだったね。だからかな、脚太いし、ごつごつしてるし。みっともないから隠したら?」

(きたか、このぶりっ子ブス)

 本格的に喧嘩を売られた。由衣は、なによりも負けることが嫌いだった。すぐに言い返した。

「そっちこそ、ぶよぶよでだらしない。そんなのわざわざださないほうがいいよ」

 と、美優の太ももを指差した。すると美優はすぐ由衣の太ももを指でつついて、

「大根足ってこういうのをいうんだろうね。ほんとに大根みたいだし」

 といえば由衣も負けじと美優のスカートの裾をつまんで、

「なにこれ、豚足かと思った」

 そう言い返した。2人は容易には引き下がらない。

「ねえ、スカートから大根覗いてるけど」

「豚足見えてるよ、豚さん」

 2人はそんな悪口の応酬を続けながらバスに揺られ、バスは東高校前バス停に到着した。

 美優が先に降り、由衣はすぐ後に続いた。

 それからは、先程の悪口の応酬がまるでなかったかのように、無言で歩いた。

 一緒に登校するわけでもない。僅かに美優のほうが歩みが速く、由衣の少し前を歩いた。

 由衣はその後ろ姿を見ていたが、美優に先を越されるのもなんとなく癪だと思い、少し脚を速めて横に並び、すぐに追い越した。

 だがそんな由衣を、今度は美優が追い越した。

 2人は速歩きで肩を並べたが、次第に脚が速くなり、小走りになり、ついには本腰をいれて走り始めた。2人は全速力で、坂を駆け上がる。

「はぁ……、はぁ……、なんなのあんた」

 美優が息をきらしながら、横目で由衣を睨んだ。

「そっちが私の前にでるのが悪いんでしょ」

 言い争いながら走っていたが、由衣のほうが体力が勝っているおかげで、リードし始めた。

(こんなやつに、負けてたまるか)

 由衣にはどんなことでも負けられない。美優は、由衣の肩にかかっている鞄の紐を掴んだ。

「この卑怯者、離せ」

「だったら私の後ろを歩けばいいでしょ」

「誰があんたなんかの」

 美優は懸命に由衣に掴みかかり、由衣は手を美優の顔や体に押し付けてそれを離そうとした。走る速度はぐっと遅くなり、2人は小競り合いをしながらじりじりと坂を登った。

 由衣と掴み合いながら校門をくぐると、下駄箱へ向かった。先に競走をしかけてきたのは由衣だったが、美優もここまできたら、どんな些細なことでも由衣に負けたくなかった。

「絶対あんたより先に」

 2人はそうい合った。

 下駄箱に着いた2人は靴を上履きに履き替えている間に相手に先を越されまいと、片手で手首を握り合い、もう一方の手で靴を履き替えた。

 1年生の教室は、以前にも書いたが5階にある。その階段を、ゆっくり歩いて上った。美優は急ごうとしても、由衣にしっかり掴まれているし、美優としても掴んでいる手を離すつもりはなかった。

 5階についた。階段を上がったところから右に10メートルの所に1組の教室がある。

(よし、ここから)

 美優はどうすれば由衣より先に教室にはいることができるか考えていた。そして考えついたのは、ここで由衣を投げ飛ばして、教室までの直線を一気に走るということだった。

 教室が見えると、美優は由衣の脇の下に手をいれ、反対の腰にもう一方の手を回すと、脚を引っ掛けて倒そうとした。だが由衣も踏ん張り、美優を倒そうとしてきて、2人は揉み合いになった。

 体格において勝っている美優は、すんなりと倒せると踏んでいたのだが、そう簡単にはいかなかった。

 2人は互いに脚を引っ掛けようとして、廊下を小さくばたばたと動き回り、なんとか有利に持ち込もうと手を忙しく動かして、相手の体を掴んだり押したりした。

「チビのくせに、さっさと倒れろ」

「うるさい、このブタ」

 互いに罵りながら攻防を続けたが埒があかない。美優は方法を変えることにした。由衣との取っ組み合いを続けながらも、とにかく教室の前までいき、ドアを開け、先に脚をねじ込んでしまおうと考えた。とにかく先に教室にはいることができれば、勝ちを宣言できる。

 美優は徐々に誘導し、移動を始めた。由衣もその意図にあえて乗ったのか、すんなりとドアの前まできた。

 後はドアと由衣の間に自分を置き、ドアを開けて床を踏むだけだ。だが、由衣も同じことを考えているようで、今度はドアの前でポジション争いが始まった。

 2人は相手の腕や肩を掴んでぐるぐる回った。だがこの時、教室の中にはただ1人、いかにも優等生といった感のある男がいた。自習でもしていたのか、その男はドアの外で抱き合っているように見える2人を発見すると、迎え入れようとドアを開けた。

(余計なことを)

 美優はそう思うより速かったか、脚を、開いていくドアの隙間にねじ込んだ。由衣もすかさず脚を差し込む。それはぶつかり合って、教室の床に飛び込んだ。

 美優の目には、自分の脚が由衣の脚との一瞬の競り合いを制したように見えたし、感覚としても先に床に触れたように思えた。

「よしっ」

 言ったもの勝ちだろう、美優は躊躇わずガッツポーズをした。だがその美優と向かい合う由衣は、両手を上げて、皮肉な笑みを浮かべている。

「私の勝ちだよね」

「なに言ってるの、私の勝ちでしょ」

 2人は片脚を教室に突っ込んだまま、言い争いを始めた。それを見ていた男は、呆然としている。この男に聞けば決着はつくだろうが、確実に勝ったという自信のない2人にそれはできなかった。

 結局、互いに勝ちを主張しあい、それぞれ自分の席に移った。この後にもまだ別な戦いが控えている。2人の1日はながい。

コメントの投稿

非公開コメント

かなり盛り上がってきましたね!!
続き楽しみです!

このあとめっちゃ楽しみです!!
プロフィール

デジタル

Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

カテゴリ
最新記事
リンク
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
訪問者数
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。