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女の戦い 撮影 1

 2人は女としての人気を争ったが、思うような結果は得られなかった。互いに自分のほうが上と自信を持っているが、回りも、相手も、それを認めてはくれなかった。

 入学から1か月がたったある日、美優のところに1人の男がきた。同じクラスの男で、新聞部にはいっているという。

 その男がいうには、東高校初の女子生徒をぜひ取材し、学校新聞に載せたいということらしい。簡単な質問と、写真を撮らせて欲しい、そういう話だった。

 美優は目立つことが好きだった。話を適当に聞きながら、二つ返事で承諾しようしたが、由衣にもこの話がいくだろうということに気づいた。

「ねえ、由衣にも取材するんでしょ?」

「これから頼みにいこうと思ってるよ」

「じゃあさ、せっかく1組には女の子が2人いるんだから、一緒に取材受けたいな」

「たぶん大丈夫だと思う」

「写真もツーショットにして欲しいんだけど」

「わかった、部長に話してみるよ」

 男はそういうと、由衣のもとへ向かっていった。

 この校内新聞は各クラスの掲示板に貼り出される。加えて自由に持って帰れるように、人数分が教室に置かれるという。

 美優は自分に自信があった。由衣自分のほうが可愛いし、スタイルもいい。男達はどうやらそれがわかっていない。ならわからせてやろう。2人並んで写真に写れば、簡単に比較できる。そうなれば男達は、由衣のスタイルの悪さに加え、自分がいかにいい女か、気づくに違いない。

(あとは由衣が写真のことを許可するか。負けず嫌いのあいつなら、きっと)

 美優は期待に胸を膨らませた。

 そのすぐ後、由衣のところにも、新聞部の男がきた。男は美優にしたのと同じような説明をし、最後に、美優の希望を付け加えた。

 それを聞いた由衣はすぐにその意図に気がついた。あの美優がなんの意味もなく、自分と写真を撮りたがるわけがない。たしかに美優のほうが背が高いぶん、スタイルもよく見える。だが、それを補ってなお余るほど、自分のほうが可愛い、由衣にはその自信があった。

「うん、取材大丈夫だよ。写真のこともそれでいいから」

 由衣は新聞部の男に笑顔でそういった。



 いざ、取材の日になった。普段通りに授業を終えると、美優は由衣に声をかけた。

「楽しみだね、写真」

「そうだね、ほんと楽しみ」

 そう言い合って笑った。

(こういうタイプは動いてると可愛く見えるだけ、写真だと大したことないんだから)

 美優はそんなことを思いながら、取材場所として指定された教室へ向かった。

 教室には、新聞部の部員が3人いた。3人とも1年生だ。取材対象である2人が1年生であるので、話しやすいだろうと気を使って、1年生をよこしてきたらしい。2人は促されるままに用意された椅子に座り、簡単な質問に答えた。出身地や趣味、好きなタイプなど、本当に簡単なものばかりで、すぐに終わった。

 その後、まずは1人ずつ写真を撮ることになった。予算いっぱいでできるだけいいものを使おうとしているのだろう、大きなデジタルカメラが、三脚にセットされている。

 順番はまず美優からだ。パシャパシャと何枚か撮影されると、すぐに撮れたものを確認した。

(下手くそ、もっと可愛く撮りなさいよ)

 そういいたい気持ちをぐっと堪えて、

「うーん、もうちょっとお願いしてもいい?」

 そういって、何枚か撮り直してもらった。

 次に由衣の撮影が始まった。ただやはり気にいる写真がすんなり撮れなかったようで、

「これでもいいけど、あとちょっとだけ」

 と、同じように撮り直させていた。

(あんたなんか何枚撮っても同じでしょ)

 美優は自分のことを棚に上げて、勝手にイライラしていた。

 由衣の写真も撮り終わると、いよいよツーショットを撮ることになった。

「じゃあ、その辺に並んでもらっていいかな」

 部員の1人が指を指したのは、1人ずつ撮った時よりもカメラから遠い位置だったが、これは美優が特に全身写真にしてくれと頼んだせいだった。

(よしよし)

 美優はにやにやしながら、指示された場所に立ち、少し遅れて由衣が右に立った。こうして改めて横に立つと、5センチほど身長差がある。

「じゃあ、撮るよ」

「あ、ちょっと待って」

 カメラマンの部員が合図をだし、撮ろうとしたが、美優はふと気づいた。由衣の立ち位置が、自分よりほんの少し後ろにずれている。

 美優はすぐに察した。隣の人間より少しだけ後ろに立つことで、自分の顔を小さく見せるのが目的だろう。

 だが、そうはさせない。美優はさり気なく、ずずっと足をずらして後ろに下がった。が、それを阻止するように、由衣が背中に手を回して、下がるのを抑えてきた。

(こいつ……)

 美優もすぐ右手を由衣の背中に回し、前に押す。2人はカメラマンにばれないよう、涼しい顔で押し合った。

「いいかな? 撮るよ?」

「ちょ、ちょっと待って。準備できたらいうから」

「ごめんね、ちょっと立ち位置が」

 2人は慌てて取り繕うと、黙々と押し合っていたが、決着はつかない。

 由衣が耳に口を寄せてきた。

「いい加減にしてよ」

「そっちこそ。どこで撮ったって同じでしょ、ちんちくりんのくせに」

「この顔デカ女。あんたの希望通りツーショット撮ってやるんだから立ち位置くらい決めさせなさいよ」

「顔デカ女はあんただから、さっさと諦めろ」

 2人が小声でボソボソやりとりをしているのを、新聞部員達は黙って見ていた。だが流石に待ちかねたのか、声をかけてきた。

「また今度にする?」

「え、大丈夫だから。もう撮ってもいいよ」

 美優は慌てていった。その後、すぐに床を指差し、小声で、

「ここのタイルにつま先合わせて。正々堂々撮ろうよ」

 というと、由衣も諦めたのか、嫌そうに従った。

「じゃあ撮りますよ」

 カメラマンが合図をだしてシャッターをきった。写真を撮っている間、2人は相手が後ろに下がらないよう、ずっとその背中を手で支え続けた。

「こんな感じです」

 カメラマンはささっと4枚撮ると、それを2人に見せた。美優はその4枚の中で、1番自分が可愛く写っていると思うものを指差し、

「これがいいなー」

 と、いったが、由衣の意向とは違ったようだ。由衣は由衣で、

「こっちがいい」

 と、他のを指した。

 2人はじっと顔を見合わせた後、

「こっちのほうがいいよ」

「絶対こっちがいい」

 そういい合った。だが決まりそうもないので、さらに追加で撮ることにした。

 今度は5枚撮ったが、先のものよりいい写真はなかった。だがそんな中から美優は迷わず、由衣が瞬きの途中で半目になっている写真を見つけ、

「これ! 絶対これにしよ!」

 と、指を指した。しかし由衣も、美優の顔が少し上向いて二重あごに見える写真を指差し、

「絶対にこれがいい! これじゃなかったらもうツーショット載せないで!」

 と、対抗してきた。

 ここにきて自分の写りが悪い写真を選べるわけがない。またしてももつれた。

 2人は、ちょっと話し合うから、と廊下にでた。まず口を開いたのは美優だ。

「私が選んだやつにするから」

 もちろん由衣は承諾しない。

「あんたがツーショット撮りたいっていったのきいてあげたんだから、私が選んでいいでしょ」

 2人は、ああだこうだといい合ったが、結論はでない。由衣はため息を1つついて、いった。

「 大体、まともに写ってる写真だとあんたがブスなのバレちゃうじゃん。だったらあの写真のほうが、写りが悪いとか、カメラマンが下手だったとかでごまかせていいんじゃない? 」

 これには、穏やかに話し合っていた美優も、流石に語気を荒げた。

「その言葉、そのまま返すよ。このクソブス」

 美優が、吐き捨てるようにいった瞬間、由衣の手がグンと伸びてきて胸ぐらを掴まれた。美優もすぐ掴み返す。互いに掴み合い、ねじり上げた。顎が、少し上を向く。

「なに、やるの?」

 美優はあくまでも強気にでた。

「やってもいいけど」

 由衣も強気の姿勢を崩さない。

「いいよ。そのぶっさいくな顔をボコボコにしてもっとぶさいくにしてあげる」

「こっちこそ、ぶん殴ってパンパンに腫らしてやるから。その後腫れあがった顔を校内新聞に載せたらいいんじゃない?」

 美優は今にも手をだしてきそうな由衣を前に勢いよく啖呵をきりながら、勝てるかどうかを計算していた。

 美優のほうが腕が長い。こちらが少し、胸ぐらを掴んでいる手を伸ばすと、由衣の掴んできている手にぐっと力がはいり、少し窮屈そうになる。これは勝てるのではないか、そう思った。

「ほら、やろうよ」

 美優はもう一方の手を顔の高さまで上げて、ひらひらと振って挑発した。

「さっさとかかってきなさいよ」

 由衣もあいている方の手を上げると、握り固めた。

「勝てると思ってんの? チビのくせに」

「あんたみたいなブヨブヨに負けるわけないでしょ」

 2人はひたすら挑発の応酬を続けた。やれば勝てるという自信は、互いに持っている。自分の方が上だと示したい。だが、万が一にも負けるかもしれないという不安は消せない。その不安が、互いに手をださせなかった。

 そうこうしていると、新聞部の男がでてきた。2人は、さっと手を下ろす。

「決まらないようだったら、またの機会ということで」

 そういった男の言葉に、2人はただ従った。

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非公開コメント

新章ありがとうございます。
楽しみな展開になってきました。
次の更新も楽しみにお待ちしてます!

相手の顔を殴ってめちゃくちゃにした後、写真を撮るというあの闘志! 本当にいいです

更新楽しみにしてました。
次回どうなるか楽しみです

めちゃくちゃ興奮しました!

勝手を申せば、撮影といえば水着!
撮影のためのビキニで喧嘩というシーンが読めたら最高です(着衣でももちろん下着でも!)
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デジタル

Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

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