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いじめ 1

 放課後、ランドセルを背負って教室をでた早瀬里香を、同級生の5人の女が待ち構えていた。学年でも有名な、いじめっ子グループだ。

 5人の中で一際大きい女が高山凛。このグループのリーダーで、周りを子柄な取り巻きで固めている。その取り巻きの中の1人、宮永千佳という女が、早瀬の腕を掴んで、リーダーである凛のもとへ引っ張っていく。

 早瀬がいじめられるようになったのは、小学5年生になったこの4月からだ。それまでいじめていた女が不登校になると、このグループは次の標的を探した。そこに早瀬の名前を挙げたのが、宮永だった。宮永という女はたちが悪く、力のあるものに擦り寄るためならなんでもする。

 早瀬は元々、宮永とは一緒に登下校をする程度の間柄だったが、あっさりと売られた。友達の少ない早瀬を助けてくれるものはおらず、黙っていじめられ続けた。もう半年になる。

 このところ毎日、放課後にはこうしてこの5人に自由を奪われる。

 早瀬はいわれるがままに、通学路から大きく離れた公園につれていかれた。寂れて、砂場以外は遊具もない。ただ奥に、ひっそりと小さな木製の建物が建っている。早瀬にとって、ここ半年で嫌というほど見た光景だ。

 5人につれられて、その小さな建物へむかう。随分昔に、集会所として使われていたものらしい。

 入り口の扉は南京錠で固く閉じられているが、1つだけ入れる箇所があった。

 壁の足下に3つ、木でできた戸が、等間隔で並んでいた。その1番左のものだけ、鍵がかかっておらず、たてつけもよく、スムーズに開く。高さ数十センチ、横は1メートル弱の大きさで、換気のためだけの戸だが、小学生なら這えば楽に通れる。

 グループのリーダー、凛が顎でその戸を指すと、宮永が素早くそれを開けた。ガラガラと音がする。まず早瀬が入り、その後に5人が続いた。

 中は、窓が高い位置にありあまり日の入りがよくない。薄暗く、埃っぽいその集会所の中では、早瀬達の到着を、4人の女が待っていた。

「凛、遅かったね」

 その4人の、右から2番目の女がいった。彼女がこのグループのリーダーだ。

「あんたらが早すぎるんだって」

 凛がけらけらと笑う。

 これから行われることを、早瀬は知っていた。何度も経験済みだからだ。

 このいじめっ子達は、流行りのゲームに影響を受けた、「バトル」と呼ばれるいじめをする。それぞれのグループが、自分達のいじめている人間をつれてきて、戦わせる。その勝敗に、お金をかけているようだ。

「今日はこいつだから」

 相手のリーダーが、4人のうち1人の背中を押した。押された女が、よろっと前にでてくる。

「こっちはこの子ね」

 凛がそういいながら、早瀬の顔を見た。その瞬間、宮永が早瀬を突き飛ばす。

 危うく転けそうになりながら、部屋の真ん中で、今日の対戦相手と対峙した。

(今日はこの子か……)

 相手の女は早瀬より少し身長が高く、横幅もある。だが早瀬に負けず劣らず気が弱そうだ。正直気が進まない。だが勝たなければ、いじめっ子グループからの制裁が待っていた。勝ちたい、その思いで、開始の合図を待った。

「じゃあ、始めていいよ」

 凛のその言葉を聞いた瞬間、早瀬は拳を握り固めた。



 5分間、全力で戦ったが、結果は惜敗だった。果敢に攻め立てたが、体格差を覆すまではいかなかった。

 対戦相手のグループはなにやら盛り上がっているが、早瀬の耳にははいらない。ただぐったりと、床に伏せていた。

 そのうち、相手のグループが引き上げていった。残され凛達は、伏せている早瀬を取り囲み、口々に罵り始めた。どうやら先頭きって罵っているのは宮永のようだ。

 宮永はそれだけでは足りなかったのか、早瀬の腕を掴んで引き起こすと、突き飛ばして転ばせた。

(こいつ……)

 早瀬はとにかく宮永が嫌いだった。リーダーの凛よりも、嫌いだった。

 仲良くしていたはずなのに、裏切られた。それどころか、宮永は凛の機嫌をとるために、いつも真っ先に早瀬をいじめた。

 早瀬は、我慢の限界がきていた。

 ガバッと飛び起きると、走り寄って宮永を突き飛ばした。どすん、と勢い良く倒れた。宮永はなにが起きたのかわかっていないのか、目を丸くしていた。が、自分がいじめられっ子に突き飛ばされたという事実を認識したのか、みるみる顔を赤くしていった。

「なにこいつ、むかつく。ねえ、やっちゃおうよ!」

 宮永は起き上がると、仲間達にむかっていった。

「お、いいじゃん。見てるからさ、やっちゃったら?」

 凛がそういうと、他の女も手を叩いて囃し立てた。

「お、やれやれー。負けるなー」

 宮永はまた、なにが起きたのかという顔で、せわしなく他の女達の顔を見ていた。

 早瀬は、じっと宮永を睨んだ。どうやら周りの女達は手をだしてこないらしい。せっかくの機会に、こいつを叩き潰してやろう、そう思った。

「くそっ、やってやる」

 宮永は覚悟を決めたのか、こちらを向くと、拳を構えた。

「いじめられっ子の根暗のくせに、調子に乗るな!」

「腰巾着のくせに偉そうに!」

 2人は一声叫ぶと、一気に距離を詰めた。その勢いのまま、早瀬が宮永の頬を殴り飛ばすと、宮永もすぐ殴り返してきた。殴っては殴られ、殴られては殴り、徹底して顔を狙った。

 互いに守りにはいらず、両腕を振り回した。顔をそむけていたため、上手く当てられない。

 早瀬は宮永にしがみつき、シャツに両手を入れて背中へ爪をたてた。宮永も同じように反撃してくる。互いに思いきり抱き合った。爪が肉に食い込む。

 痛みで涙がでてきた。だが、目の前の宮永の目も、涙で滲んでいる。黙々と爪をたて続けた。それと同時に足をかけ合う。

 宮永が、先にこけた。床に倒れ込んでも、互いに手を離さなかった。そのまま、ごろごろと転がった。

 壁に当たって回転が止まった。上にいたのは宮永だったが、早瀬はすぐその髪を引っ張り、引きずり落とした。

 馬乗りになり、とにかく拳を振り下ろした。ただただ憎かった。その顔を、何度も何度も殴った。

 夢中で殴っている早瀬を、他の女が引き離した。

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最高!

似たような妄想をたくさんしてみたが、私は結局書かなかったです。 本当に良いキャットファイトシュチュエーションだと思います! いい小説ありがとうございます

おぉ、こちらものお話も面白いですね!
ありがとうございます!

はじめまして遊び人と申します
いじめられっこ同士とか私の一番好きなシチュエーションです!
続きに期待してます!
プロフィール

デジタル

Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

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