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女の戦い 撮影 2

ずいぶん間があいてしまいましたが、「女の戦い」の続きになります。すこし章題がかわりましたが、前回がこちらになります。





 2人が写真でもめたことで、ツーショットの話は立ち消えになった。それから数週間、また、新聞部の男から話がもってこられた。

 それは、その日の授業が終わり、掃除もほとんど片付いた後のことだった。あの後、2組、3組とクラス順に女子生徒を紹介する記事を書いた新聞部は、最後に1年生女子の集合写真を撮りたいらしかった。

 これを聞いた由衣は、深く考えずに承認した。由衣に話し終えた男は、その足で美優のところへ向かっていった。由衣はその背中を見送りながら、帰りの準備をした。

 集合写真ならもめることはないだろうと思っていたが、ここにきてふと思いだしたのは、1年生の女子生徒は5人いるということだ。5人並んで撮れば、誰かが真ん中に立つことになるだろう。

(またごちゃごちゃいってくるんだろうなぁ)

 由衣としては、絶対に自分が真ん中でなければいけないというほどの思いはない。だが、美優が真ん中にこだわるのであれば、みすみす譲るのはすっきりしない。

(あいつの態度次第では、譲ってやろう)

 だがやはりというべきか、この話を聞いた美優は由衣のところにやってくるなり、

「集合写真の話は聞いたでしょ? 真ん中は私だから、文句ないよね?」

 と、すごんできた。

(ほらきた。そっちがそんな態度なら、絶対に譲ってやらない)

 由衣は座ったままで、上体を傾けて美優を見上げた。その姿が尊大に見えたようで、これだけで美優はムッとした。そして由衣はゆっくりとした口調でいった。

「真ん中は私でしょ。あんたみたいなのが女子の代表だと思われたくないし」

 それに対して美優は机に両手を置き、由衣に覆いかぶさるように上体を傾け、顔を近づけてきた。

「こんなちんちくりんのブスが真ん中よりよっぽどましだと思うけど」

 周りに人がいるせいであまり大きな声はだせない。

 ところで、2人は他のクラスの女子生徒を無視して自分の意向を通そうとしているが、それに関しては特に問題はなかった。1組のこの2人以外の女子生徒には、由衣ほどの負けず嫌いはおらず、美優ほど自己顕示欲の強い自信家もいない。とにかく2人にとっては、この目の前の相手こそ最大の敵であり、それさえ黙らせれば、他に障害になるような者はいない。

 それに加えて、他の3人は容姿もあまりよくなかった。1年生の5人の中で、由衣と美優は女として飛び抜けた存在であり、2人に意見する女はいない。また男達もこの2人に媚びを売るばかりで、うるさいことをいわない。そのため、2人はとにかく互いが邪魔だった。なんとかして潰したい、自分が上だと証明したい、その思いが強い。

 話は、教室で睨み合う2人に戻る。由衣としては、また写真を撮る場でもめるのは避けたかった。これ以上、新聞部に迷惑をかけたくないという思いがある。だが、美優に譲りたくはない。

「あんたなんかに絶対譲らないから」

 と、由衣がいうと、

「ブスがでしゃばらないでくれる?」

 美優も強気で言い返す。

 2人は口論を続けたが、帰りのホームルームが始まったことで一旦別れた。

 ホームルームが終わると由衣は立ち上がって、美優のもとへ向かった。美優もこちらに来ようとしていたようで、2人は睨み合いながら近づき、教室の真ん中で、顔を突き合わせた。

「私が真ん中でいいよね」

 由衣がため息まじりにいった。だが美優もいい返してくる。

「私が真ん中だっていってるでしょ。おとなしくいうこと聞いといたほうがいいよ」

 2人は自分こそ真ん中に写るべきだと主張し合った。一緒に帰ろうと誘ってきた男もいたが、それどころではない。2人の口論は1時間も続き、気づけば教室に残っているのは2人だけになっていた。

「今、人いないね」

 由衣は大げさに周りを見渡していった。喧嘩をやるならやってやるという挑発を、言外に込めている。

「そっちがその気なら」

 そういった美優が、ごくんと唾を飲み込んだのが見えた。

(強がっちゃって)

 由衣は、当然勝つ気でいる。なんといっても運動能力が違う。体力なら、その辺の女に負けるはずがない。少しくらいの体格差なら、跳ね返せる、その自信があった。

「この間はあんたがビビって手だしてこなかったからね」

 由衣が挑発した。

「ビビったのはあんたでしょ。こっちこそボコボコにしてやろうか」

 美優はそういうと、1歩近づいてきた。つま先が触れ合う距離だ。これくらい近づかれると、由衣としては顔を斜め上に向けないと、目を睨めない。

「チビ。潰してやる」

「やれるもんならやってみろ、ブタ女」

 この言葉を吐いた瞬間、由衣がすばやく手を伸ばした。

 美優の手も伸びてきて、体を掴み合いながら、もつれて倒れた。机にぶつかり、ガタガタと音を立てる。

 髪を掴んで床を転がり、互いに上に乗ろうと争った。美優が上になり、覆いかぶさろうとしてくる。由衣はそんな美優の腹に膝をいれて防ぐが、美優も掴んだ髪を引き寄せて離れない。

 由衣は顔を殴った。美優は一瞬のけぞり、手の力を弱めたが、すぐ血走った目で由衣をキッと睨みつけ、殴り返してきた。

 美優のパンチは思ったより重かった。由衣は揉み合いながらなんとか上になろうと蹴りをいれる。美優が怯んだ隙にごろんと体を入れ替えるが、美優のほうが体が大きい。すぐに返されてしまう。

 由衣は完全にマウントをとられた。由衣の腹に座った美優は勝ち誇った顔で、由衣の前髪を掴んで床に押さえつけた。

 由衣も諦めず、美優の髪を掴もうと手を伸ばした。が、美優は背中を反らせ、顔をそむけてそれをかわす。今度は由衣の髪は上に引っ張られ、顎が鎖骨に押し付けられるほど、首が曲がった。

 だが由衣はそれでも諦めずに手を伸ばした。美優はどんどん体を反らして頭を後ろに逃がす。後ろに体重が寄ったのを、由衣は見逃さなかった。

 由衣は美優の腹に手を押しつけ、脚を美優の尻の下から脱出させた。2人は向かい合って座ったまま、互いに息をつく暇を与えず、蹴り合った。手を床について重心を後ろに預け、脚を思い切り前に突きだす。

 蹴りの応酬で体が押され、相手と距離ができると、2人は急いで立ち上がった。

「はぁ……、はぁ……」

 静かな教室には2人の荒い呼吸の音だけがある。

 由衣は相手に休む間を与えまいと、すぐに攻撃を再開した。今度は髪を掴むと、それを手にぐるりと巻きつけてしっかりと握った。美優もすぐ掴み返す。互いに体をくの字に曲げて引っ張り合った。

 由衣は髪を引き上げ、一気に振り下ろした。勢いで美優の頭がガクッと揺れる。由衣はなんどもそれを繰り返した。美優もやり返そうとしていたようだが、由衣の髪が短いために掴みにくく、加えてガクンガクンと頭が揺れるため思うようにいかず、何度も必死に髪を掴みなおしていた。

 由衣は隙を見て顔を殴った。美優が殴り返そうと片手を離すと、また頭を揺らして体勢を崩した。

 同じように腰を曲げて髪を掴み合っているが、由衣は引っ張って揺らしてと攻撃に活かしているのに対し、美優はただしがみついているだけのようだった。

「くそぉ!」

 美優が急に頭から突っ込んできた。由衣は押されて尻もちをついた。美優が引っ張られるように膝をつく。ゴツッと膝を打ち付ける音が響いた。

 すぐに美優の拳がとんできた。それを頬にもろにくらい、大きく顔をのけぞらせたが、すぐに同じように拳を美優の顔に叩きつけた。

 殴り合いになった。互いに隙を見て立ち上がると、片手で髪を掴み、片手で殴り合った。

 2人は夢中で殴った。が、その時ふと廊下から音が聞こえてきた。

 コツ、コツ。誰かの足音だろう。2人は慌てて立ち上がる。

「誰かくる」

 由衣はそうささやいた。生徒であれば履物はスリッパのはずだが、どう考えても靴の足音だ。教師がきたに違いなかった。

 由衣はすぐ喧嘩をやめようと、殴る手を止めた。そして手を離そうとした。だが、美優は殴ることはやめたものの、手を離す気配がない。

「先生きてるよ」

 由衣は足音が聞こえてくる方を指差した。

「あんたが負けを認めるなら離してあげる」

「そんなこといってる場合じゃないでしょ」

 そういう由衣も、まだ手を離していない。

「そんな場合じゃないならあんたが離せばいいでしょ」

「ふざけないで、いいから離して」

「あんたが離したらね」

「く、この!」

 由衣は思いきって美優の顔を殴った。それは不意を突かれた美優の鼻に直撃した。美優は手を離して、2、3歩後ろにふらふらっとよろめいた。由衣は勢いそのままに、美優の両肩をドンと押し、突き飛ばした。

 美優はとととっ、と下がったかと思うと、床に勢いよく背中を打ち付けた。

 やりすぎたか、由衣はそう思い、すぐに美優に歩みより、腕を引っ張って立ち上がらせた。倒れたときに頭でも打ったのか、力がはいっていない。とりあえず椅子に座らせた。

 その直後に、教室の前を教師が通った。

「用がないなら早く帰りなさい」

 教師は一声かけると去っていった。

 由衣は机に突っ伏していた美優を見ていたが、美優がうーんとうめき声をあげながら起き上がると、逃げるように帰った。

 由衣は顔にあざができており、写真撮影は断ることにした。おそらく、美優も断るだろう。

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非公開コメント

やはり争い描写が上手ですね。 面白いです。誰かの妨害のない決着を見たいです

Re: タイトルなし

Jkllmさん、コメントありがとうございます。お久しぶりです。

> やはり争い描写が上手ですね。 面白いです。誰かの妨害のない決着を見たいです

正直、肝心の喧嘩の部分の描写が1番自信がないので評価していただけてありがたいです。
妨害のない決着というのもこの後の展開で用意しているのですが、2人の力関係を互角にしておきたかったのでとりあえずこの段階ではこのような形にしました。

待ってました!最高です!
このままでは双方おさまりそうもないので、とことんやってほしいです笑

Re: タイトルなし

一読者さん、コメントありがとうございます。

> 待ってました!最高です!
> このままでは双方おさまりそうもないので、とことんやってほしいです笑

この後もしばらく続くのでこれからもよろしくお願いします。

続きお待ちしてました!
この後どうなっていくのか楽しみです!

Re: タイトルなし

ぽんさん、コメントありがとうございます

> 続きお待ちしてました!
> この後どうなっていくのか楽しみです!

まだまだ続くのでよろしくお願いします
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Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

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