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女の戦い 海 4

 男達はとりあえず引き分けであったと言い聞かせることで、2人をなだめた。由衣は勝っていたのにという不満もあったが、それは美優も同じようだった。

 その後ほどなくして、そろそろ帰ろうかということになった。シートやパラソルなど、使った物を片付け、砂浜を引き上げる。

 脱衣所から数メートルのところに、シャワーが設置されているエリアがあった。シャワーは当然、男女で別れているので、ここで2人は男達と別れた。

 由衣は、美優と一緒に脱衣所に財布を取りにいってから、そのシャワー室の前に立った。それは、室、と呼べるようなものではなく、仮設トイレのような見た目をしていた。人が入れる大きさの箱が置いてあると思ってよい。

「シャワーってこれなの?」

 由衣がいった。

「これだよ。100円いれたらお湯がでるから」

 美優はそういいながら、その箱のドアを開けた。確かにシャワーがあるし、コインを投入する穴もあった。シャワーより高い位置に棚があり、あそこに荷物を置くのだろう。2人の場合は、財布しか持っていないが。

 由衣は財布の小銭入れをがさがさといじっていたが、100円玉がないことに気がついた。

「ごめん、100円ある?」

 由衣はそういいながら、50円玉を2枚差し出した。

「あるけど、100円で足りる? 結構短いよ」

 美優がそういうので、500円玉を差し出し、両替してもらった。男や勝負ごとが絡まないと、美優は存外優しい。

「ありがとう。じゃあ」

 由衣はさも当然というように、シャワー室にはいろうとした。

「待ってよ、なんで由衣が先なの?」

 と、美優が腕を掴んできた。

「私のほうが髪短いし、すぐ終わるから。いいでしょ?」

「関係ないし。私が先」

 今度は美優がシャワー室にはいろうとした。由衣はそれを阻止しようとし、互いに押しのけようとして、揉み合いになった。

「両替してあげたんだから譲るべきでしょ」

「たかが両替くらいで恩着せがましい」

 2人はなんとしても先にはいろうと入り口で揉み合った。むりやり体をねじ込み、結局2人同時にはいった。

「ちょっと、でていってよ」

「そっちこそ」

 中にはいった2人だが、それでも諦めず、相手を追い出そうとした。押し出されそうになった由衣はドアを閉めて鍵をかけた。美優は由衣を体で押したが、ドアが閉まっているため、動かない。

「私がお金いれるから」

「私が先だっていってるでしょ」

 相手を追い出すことができない2人は、投入口に自分の100円玉をねじ込もうとやっきになった。互いに妨害しあったが、由衣が先にいれた。シャワーは固定されている。そこから湯がではじめ、2人の頭にかかった。

「私がお金いれたんだからでていってよ」

「私が浴びようとしたら、あんたが勝手にいれたんじゃん」

 お金をいれた由衣はもちろんだが、美優もシャワーを浴びようとした。2人はシャワー室の中央を奪うべく、押しあった。

「あんたなに浴びてんの、私のお金でしょ」

「ごちゃごちゃうるさいな」

 2人は相手を押しのけることに夢中で、お湯はただ体にあたって落ちていくばかりだった。ガチャンと音がして、湯が止まった。

「ちょっと、お金返してよ」

 由衣は不満そうにいった。だが美優もすんなり返そうとしない。言い合っていてもらちがあかないので、今度は美優がお金をいれることになった。

「じゃあ100円いれるから、一緒に浴びようか」

 そういう美優の全身を、由衣はざっと見た。特に汚れているところといえば、髪だろう。まだ砂がちらほらついている。美優は一緒にといっているが、由衣には一緒に浴びる気などなかった。

 美優が100円をいれた。湯がではじめると由衣はすぐに美優の髪を掴んだ。そして湯の届く範囲から追いだそうと、腕をまっすぐ伸ばした。が、美優も同じことを考えていたようで、由衣は髪を掴まれた。2人は向き合ったまま、髪を掴んだ手を相手の頭の向こうへ突き出した。シャワーからでた湯は、向かい合ったまま上を向いた2人の顔の、そのあごをかすめ、胸を打った。

 2人はうめき声をあげながら、必死に腕を伸ばした。なんとか自分が真ん中に立とうと体で押し合う。そんなことをしていると、また湯が止まった。

 が、だからといって互いに手は離さなかった。今度は髪を下に引いた。薄い湯気の中で、体をぶつけ合う。

「さっきの決着つけてやる」

「かかってこい、チビ」

 由衣は顔を殴ろうと腕を振りかぶったが、室内は狭く思ったように勢いがつけられない。手を小さく動かして頬を叩いた。美優が叩き返してくると、それ以上の力でまた叩いた。動かせる範囲で腕を振り、脇や腹を殴り合い、汗と湯にまみれた体をぶつけ合った。

 由衣は早く勝負をつけたかった。片手で美優の首を掴み、ぐっと握った。手応えがあったので、髪を掴むのをやめて、両手で首をしめた。美優は自分の首と、それをしめる手の間に手を差し込み、苦しみをやわらげようとしている。

「ざまあみろ、この豚」

「うぐ……、くっ……」

 美優の歯の間から、鈍い声が漏れる。

 美優が腕を伸ばしてきた。その手が、由衣の首をとらえ、圧迫した。だが由衣は首をしめることをやめなかった。

 美優がじりじりと後ずさりし始める。その背中が、とん、と壁についた。美優の手が喉から離れ、手首を掴んできた。だが由衣の手はびくともしない。

 美優の腰が下がっていき、ぺたんと座り込んだ。由衣は手を離すと、顔面に1発パンチを叩き込んだ。

2発目を構えたとき、美優は両手を顔の前にもっていき、泣き始めた。由衣がシャワー室のドアを開けると、彼女は泣きながらでていった。

(やりすぎたかな)

 とも思ったが、怒りのほうが大きかったため、そこまで罪悪感は感じなかった。由衣は1人でゆっくりシャワーを浴びた。

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見ず知らず

見ず知らずの続きが気になります、、、

Re: 見ず知らず

> 見ず知らずの続きが気になります、、、

くまさん、コメントありがとうございます。
もうしばらくお待ちください。
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Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

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