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女の戦い 修学旅行 完

 美優はどこにいるのだろうか。由衣は足音をたてないようにゆっくり、ゆっくりと慎重に歩いた。時折立ち止まって耳をすました。だが、なにも聞こえない。

 手を前に突き出し、なにもない空間を手探りで美優を探した。緊張で額に汗がにじんだ。

 1歩、2歩、じりじりと歩いていると、突き出していた右手が柔らかいなにかに当たった。

(いた!)

 そう思った瞬間、そのなにかを掴んだ。だがそれとほぼ同時に、由衣の顔に明らかに人の手が当たり、その瞬間、すぐに顔を鷲掴みにしてきた。もう片方の手も伸びてきて、両手で顔をもみくちゃにされた。

 由衣も両手で、なにかに掴みかかった。そのなにかは、妙に膨らみがある。これは胸ではないか、そう確信し、力いっぱい握りしめた。

 だが美優はそれを防ごうとしてこなかった。由衣の顔を掴んでいる手は頬を引っ張り、口に手をいれて広げ、鼻の穴に指を飛び込ませてきた。

「ぐっ、やめろクソ女」

 由衣は目の前にいるであろう美優を罵った。

「んんっ……、あんたこそ、どこ触ってんの」

 正面の暗闇から声が帰ってくる。

 由衣は胸を握る力をますます強め、絞るように握った。しかし同時に、顔をとにかくもみくちゃにされた。

 突如、顔を掴んでいる手が離れた。その手は由衣の手首や指を乱暴に握り、胸から引き剥がしてきた。

 すぐに暗闇から手のひらが飛んできて、ドン、と肩を突いた。由衣は2、3歩後ろによろめく。

 離れていては美優を見失ってしまう、由衣は顎を引いて肩から、美優がいるはずの場所に飛び込んだ。

 肩が、美優の胸にめり込む。すぐに美優の腕が背中に回ってきて、由衣の体を包んだ。由衣を抱きしめたまま、背中から倒れた。

 美優がすぐに上下を入れ替えると、由衣も腕を美優の背中に回して、ごろごろと床を転がった。そしてすぐ壁に当たった。

 たまたま上になった由衣は、美優の体に手を起き、体重を押し付けて起き上がり、馬乗りになった。脚を広げて、倒されないようにバランスをとる。

 すぐに髪を掴まれた。顔が下に引き寄せられ、額、鼻が美優のそれとぶつかり合う。

 だが由衣は守りにはいらず、両手でそれぞれ美優の乳房を掴み、握りしめた。

 美優の絞り出すような声が、吐息と共に顔にかかる。髪を引かれる力が強くなっていき、額同士が押しつけられる。

「うぅ……、ぐっ……」

 美優の唸り声が聞こえる。

 手応えがあった。だがそのせいで、攻撃に夢中になりすぎた。簡単にごろんと転がり、上をとられた。

 すぐさま美優の腹に足を押し付けて、蹴り飛ばして、一旦距離をとった。

「はぁ……、はぁ……」

 荒い呼吸音のおかけで美優がどこにいるのか、すぐにわかる。だがそれは美優のほうも同じだろう。

 由衣はその音に向かって1歩踏み出した。手を突き出し、探った。また1歩進むと、美優の手に触れた。それはほんの少しだったが、すぐに互いの手を掴もうとした。

 手がまるで生き物のように、相手の指の股を求め、がっちりと噛み付いた。

 指を絡め、しっかりと握り合う。それから懸命に押し合った。体重をかけて力比べをする。

「くくっ……」

 力みから、声がもれる。互角だった。

 由衣は力比べをしている手を徐々に外側に広げ始めた。互いの体が近くなる。

 呼吸の音が目の前までやってきたとき、由衣は頭を思いきり後ろに倒すと、勢いよく前に突き出した。ゴツッ、と鈍い音がして、美優の手から力が抜ける。だが由衣は2発目を叩き込むため、その手を離さなかった。

(もう1発……)

 そう思い、体の位置関係を調整していると、目の前にに美優の頭があった。

 きていた、というべきか。一瞬、シャンプーの匂いが香った直後、由衣の鼻を直撃していた。

 血の臭いが、頭の中に広がる。全身から力が抜けた。たまらず1歩、2歩と後ずさる。そこを見澄ましていたのかどうか、美優の手が飛んできて、突き飛ばされた。

 踏ん張れず、尻もちをつく。鼻に手を持っていくと、滑らかな液体が付着した。鼻血がでていた。

「待って、鼻血が……」

 美優には見えないだろうが、手のひらを突き出して待ったをかけた。聞いてくれるとは思えなかったが、抵抗する力も湧かない。

 予想通り、美優は待ってくれなかった。

 ガツン、とプラスチックの物体が由衣の頭に当たった。テレビのリモコンかなにかを美優が投げたのだろう。単純に攻撃のためか、位置を確かめるためか。

 由衣はすぐ拾って投げ返した。壁に当たった音がした。その瞬間、由衣の顔面にすくい上げるように拳がぶつかってきた。たまらず顔を仰け反らせ、床に伏せた。

 今度は蹴られた。胸に、美優のすねが飛び込んできた。

「ごほっ……」

 思わず咳き込む。すぐに2発目が飛んできて、脇腹に当たった。

 由衣はその脚にしがみついた。立ち上がりながら持ち上げる。ドスン、と美優が倒れた音がした。

 すぐさま飛びかかり、拳を握り固めて、顔に向かって振り下ろした。ゴチッと歯に当たった感触がした。由衣の手も痛かったが、気にしている場合ではなかった。

 すぐに振り上げると、今度は鼻めがけて振り下ろした。明らかに命中した。もう一度振り上げ、叩きつけた。

「この! この!」

 何度も殴った。だが美優もやられっぱなしではなく、蹴りをいれてきた。由衣の腹に命中し、蹴り飛ばされた。

 由衣はすぐに立ち上がり、様子を見た。美優も立ち上がっているようだ。

 徐々に目が暗さに慣れてきていた。美優がうつむいて、顔を触りながら距離をとっていくのが見える。

 すぐに美優が顔を上げた。しきりに顔を拭う仕草をしている。鼻への攻撃が効いたのだろう。おそらく鼻血を流しているかもしれないが、はっきりとは見えなかった。

 美優が拳を掲げた。ファイティングポーズのつもりだろう。表情は見えないが、怒りに満ちているに違いない。

 由衣も同じように拳を構える。じりじりと、距離を縮める。

 手の届く距離になると、美優が手を振りかぶるのが見えた。由衣もすぐに殴る体制をつくって、右手の拳を突き出した。

 由衣の頬に拳が直撃したが、こちらのパンチはあと1歩届かなかった。

 少しのけぞった後、激しい殴り合いになった。

 互いに夢中でパンチを打ち出した。殴っては殴られたが、防ごうとは思わなかった。少しでもダメージを与えたい、その一心だった。

 疲れてくると相手に抱きついて休憩した。鼻からつらつらと流れてくる血を、相手の肩に押しつけて拭った。

 休憩が終わると互いを突き飛ばして、また殴り合った。殴り合う時間は短くなり、代わりに休憩の時間がどんどん長くなっていったが、2人は飽きることなく続けた。

 深夜、疲れ果てた2人は、抱き合ったまま床で眠った。

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激しい殴り合いは印象深かったです。 ただ、勝敗の曖昧さが残念ですね

目を覚ました後の二人のリアクションも見てみたいです!

Re: タイトルなし

> 激しい殴り合いは印象深かったです。 ただ、勝敗の曖昧さが残念ですね

Jkllmさん、コメントありがとうございます。
私はあまり決着がつくかを重要視していないのでこのような形になりました。ご意見参考にさせていただきます。

Re: タイトルなし

> 目を覚ました後の二人のリアクションも見てみたいです!

コメントありがとうございます。
申し訳ありませんがその予定はありませんので皆さんのご想像にお任せします。ご了承ください。

pixivで、ブログで小説を書かれているということを知り、検索しました。実は過去に、「見ず知らず」の小説を読ませと頂いたことがあります。このブログ主様だということを知り、驚きました。小説を再開されていたようで、嬉しいです。
「女の戦い」、展開が毎度斬新で興奮しました。憎み合いつつ憎み切れない、そんな2人の関係が好きになりました。社会人編も読んでみたいです。

Re: タイトルなし

> pixivで、ブログで小説を書かれているということを知り、検索しました。実は過去に、「見ず知らず」の小説を読ませと頂いたことがあります。このブログ主様だということを知り、驚きました。小説を再開されていたようで、嬉しいです。
> 「女の戦い」、展開が毎度斬新で興奮しました。憎み合いつつ憎み切れない、そんな2人の関係が好きになりました。社会人編も読んでみたいです。

アルパッカさん、コメントありがとうございます。
楽しんでもらえたようで良かったです。
社会人編に関しては今の段階ではなんともいえないですが、なんとか形にして投稿したいなとは思っています。
これからも頑張って更新していきますのでよろしくお願いします。
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Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

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