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見栄 4

 すぐ横で妹達が乱闘を始めたことに、美絵はすぐ気づいた。まさか原因が自分にあるとは露ほども思わない。揉めているグループ同士であるし、そういうものだろう、その程度の認識だった。今は目の前のこの女に勝つことだ、美絵はそれで頭がいっぱいだった。

 相変わらず抱き合ったままばたばた動いているだけだったが、不意に実由紀のほうが体勢をくずした。そばにいた中学生の体に足を引っ掛けたようだ。2人はもつれるようにして中学生の団子の上に倒れ込んだ。

 乱闘の様子は激しく、すぐに2人もその中に飲み込まれ、揃ってもみくちゃにされた。体が引き離されたが、美絵はとっさに手を伸ばし、実由紀の髪を掴んだ。敵か味方かわからない中学生と体をぶつけ、擦り合わせながら、時折どこからかとんでくるパンチに耐える。うつ伏せになったその背中には誰かの尻が乗っているし、ふくらはぎにひっかかれたような痛みも走ったが、決して手を離さなかった。

 美絵は手にした髪をぐいぐい引っ張った。この先にはあの女の頭がついているはずだ。力いっぱい引いていると、目の前の中学生の肩越しに実由紀の頭が見えた。美絵は尻を突き上げ、乗っていた誰かを振り落とすとなんとか団子から抜け出し、そこから実由紀を引き抜こうと綱引きの要領で髪を引いた。すぐに、よつんばいの実由紀がでてきた。足首を誰かに掴まれているようだ。

 実由紀が髪を引く手を掴んでくる。同時に足首に絡みつく誰かの手を振りほどこうと懸命に足を振っていた。美絵はその間、あいたほうの手でバチンバチンと何度も実由紀の頬にビンタを叩き込んだ。

 ようやく足が自由になった実由紀が立ち上がり、反撃してきた。髪を掴まれていることをものともせず、両手を振り回してビンタをしてくる。美絵も負けずに頬を叩き続けたが、手数が足りない。こちらも両手で――、美絵は手を離した。

 実由紀が曲げていた腰を伸ばし、久しぶりに2人はまっすぐに相対した。美絵が素早く腕を振り上げ、一発叩き込むと、すぐに顔の叩き合いが始まった。

 2人はダメージを与えることよりも、より多く叩こうと必死になった。手を忙しく振り回した小振りなビンタで、パチンパチンと回数を稼ぐ。

 強気にいく、その姿勢が裏目にでて、体ばかりがぐいぐい相手に近づく。相手の吐息がかかるような距離で、小刻みにビンタしあった。

 どちらかがじりっと距離を詰めると、どちらかが下がる。それを繰り返した。そのうちに、今度は美絵が尻餅をついた。誰かの足が引っかかったようだ。

 しまった――、そう思った時にはすでに実由紀を見上げていた。だが実由紀もどうしたらいいのかわからない様子だった。上に乗ろうか、やめようかと迷っているそぶりだったので、思い切って足首に飛びつき、持ち上げた。実由紀が勢いよく尻餅をついた。

 美絵は迷わず飛びついた。体を重ねる。すぐに髪と胸元を掴まれた。美絵も掴み返し、ごろんごろんと転がった。



 一方の妹、亜美は劣勢だった。仲間のうち1人は流れる鼻血をハンカチで止めることに夢中で、1人は座り込んで泣いているらしい。

 だが亜美は諦めなかった。こんなことになったのは自分の責任もある、罪悪感が強かった。

 4対6になっていたが、守ることを考えずとにかく相手のリーダーにくらいついていった。髪をがっちりと掴み、可能な限り顔に拳を叩き込んだ。

 すぐ横ではこちらのリーダーも、これまで見たこともない形相で激しく拳を振りまわしていた。

 だがそもそも喧嘩慣れしているわけでもない2人がどれだけ頑張っても、不利なものはどうしようもなかった。

 後の残っていた2人もどうやら脱落したらしい。鞄を抱えて走っていく背中が見えた。よく見れば先に脱落した2人ももういない。2対6、絶望的だった。頼りにしていたはずの姉は先程から延々、あの女と頬を叩き合っている。ビンタというには弱々しすぎる攻撃に、怒りを通り越して呆れた。よくもあれで武勇伝を語れたものだ。姉への尊敬の気持ちは霧散していた。

 懸命に戦っていたが、完全に押さえつけられた。こちらのリーダーも同じように動きを封じられている。完全に心が折れたようで、泣きじゃくりながら謝罪の言葉を吐き出している。それを相手のリーダーが満足そうに聞いていた。

 この光景を見て、亜美も心が折れた。元々この2人のリーダーの、男の取り合いから始まった喧嘩だった。こうなっては続ける意味もない。亜美は唇を噛み締め、悔しさいっぱいに謝罪した。

 二度と逆らうな、そんな言葉が相手グループから吐かれると、押さえつけられていた体が開放された。リーダーと2人、重い足取りで鞄をとりにいく。その間、石を投げつけられたが、頭を守るのに精一杯で、もう反撃をしようという気は起きなかった。

 鞄を拾い、帰ろうとリーダーと目配せしたが、ふと姉の姿が目にはいった。今度は抱き合ってごろごろと地面を転がっている。あれは喧嘩だろうか、じゃれているようにも見える呑気さだった。さっきまで自分達がやっていた死闘を思い返すと、また腹がたってくる。もう喧嘩の必要はないと告げ、連れ帰るという選択肢もあったが、

(知るもんか、いつまでもやってろ)

 裏切られたという気持ちが大きく、亜美はリーダーと一緒に、その路地を後にした。

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完結ですか?

こんばんは!毎回楽しませて読ませて頂いてます!この作品は完結ですか?もし完結してたら、見ず知らずの続き読みたいです!

あーゆうシュチュエーション好きなんです!

期待してまってます!
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Author:デジタル
キャットファイトの小説を書いていこうかと思います。

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